「プレスセラミックスにおける
グレーズペーストについての雑記」
プレスセラミックスに使用する
グレーズペーストですが、
普段、小社Grossで扱っているものは
大きく分けて3種類あります。
これら3種は用途に応じて使い分けておりますが、
ざっくりとした利点欠点および
使用感を自分なりにまとめてみました。
ivoclar IPS e.maxセラムグレーズFLUO:
非常に塗りやすく、
薄く伸びるため操作性は抜群です。
噛み込みが深く、皮膜を厚くするとバイトが高く
なりがちな1級インレー等で重宝します。
注射器型の容器を採用していますので、
ペーストが乾燥し難いです。
再練和がほとんど不要な他、
リフレッシュリキッドなども
あまり出番がありません。
また蛍光性を有しているため、
口腔内で自然感を発揮してくれます。
ただ層を厚く塗って焼成すると白濁しやすく、
色調を損なうことがあります。
また焼成温度を上げすぎた場合、
層が薄くても同様に白濁しやすい所感があります。
松風 ヴィンテージアート LF GP:
比較的塗りやすく、
薄く伸びるため操作性が良いです。
焼成温度は750℃となっていますが、
実際はもう少し高めの方が艶を出しやすい
と思います。
酸に対する抵抗が強く、
溶解量が他社製品の1/2~1/3程度に低減されて
いるのが特徴です。
かなり薄くしても口腔内でのステイン剥がれや
面の粗造化が起きていないため、
数値以上にパワフルな印象があります。
加えて、曲げ強度にも優れています。
反面、IPSセラムグレーズ同様、層を厚くして
しまうと白濁してしまう場合があります。
また容器が傷つきやすいため、
金属製のスパチュラなどで練和を繰り返すと
容器内面が荒れ、
ペースト内にゴミが介入することがあります。
プラスチック製のスパチュラを使用すると
良いでしょう。
リキッドは揮発していきますので、
反復仕様及び時間経過によって
操作性が悪くなることがあります。
GCイニシャルIQ
ラスターペーストL-N:
分厚く塗っても白濁せず、
安定した透明感を発揮できるペーストです。
容器がガラスで出来ている為、
練和によって容器内が傷つくことはありません。
時間経過によって操作性は落ちていきますが、
リフレッシュリキッドが優秀なので
問題になり難いです。
反面、塗るというより盛る陶材に近いので、
上記2種と比較すると操作性が悪いと感じる
場合があります。
特性上、均一に薄く延ばすのが苦手で、
噛みこみの深いインレーなどに使用すると
後の調整量が多くなることがあります。
したがって、
扱いには慣れが必要かもしれません。
以上です。
如何でしたでしょうか。
上記はあくまで筆者の主観によるものですので、
ここ違うぞ!こうすればうまくいくよ!という
ご意見がありましたら
コメント頂けますと嬉しいです。
ライター 髙瀬 直