「咬合器マウントは
普通石膏が一番!?」
・・・そう思っていた時期が私にもありました。
保険のクラウンを数こなしていると、
どうしても看過しがちなポイントでしょう。
しかし咬合器のマウントには、
いくつか方法がありますよね。
フェイスボウトランスファーしたり、
平面板を利用して平均値にマウントしてみたり。
咬合器の種類はもちろん。
使用する石膏も様々でしょう。
この石膏が曲者で、
少しばかりの注意点を守れば
ちゃんと機能してくれるのですが、
その少しばかりを怠るだけで、
全く異なる結果を生み出してしまったりします。
そこで今回、
咬合器マウントに使用する石膏の扱いについて、
いくつか気になった要点をまとめてみました。
①上下いっぺんにマウントしない
咬合器の種類を問わず、
マウントの際は基本的に
上下別々にマウントしなければいけません。
上下どちらか一方をマウントした後、
石膏の完全硬化を待ってから残りをマウントする
のが理想的です。
これにより、石膏の寸法変化を上下どちらかのみ
に絞る事ができます。
②石膏はマウント用石膏を使用する
咬合器マウントの際には、
通常の模型製作用の石膏ではなく、
必ずマウント専用の石膏を使用してください。
私はエリートアーチを愛用しています。
時折、コスト削減の為に普通石膏で
咬合器マウントしているのを見かけますが・・・
それはバターと称しながら
マーガリンを使うようなものです。
どちらが良いとか悪いとかいう以前に、
普通石膏とマウント用石膏は
「見た目が似ているだけで
用途の異なる別物」
と捉えるべきでしょう。
③使う石膏の量を極力減らす
マウント用石膏は高い寸法精度を誇りますが、
量が多大になれば変形量も大きくなってきます。
基本的に
マウント可能な最低限の量に留めるべきです。
咬合器とのクリアランスが大きい場合は
模型に台付けをしたり、
マウンティングプレートの方に台付けをして
カサ増しして下さい。
高価なマウント用石膏
(およそ超硬石膏と同価格…)
の使用量を低減することにより、
コストカットにも繋がります。
④硬化途中に水を加えない
注意が必要なのが、
マウント石膏の面慣らしについてです。
よくマウント石膏の面を綺麗に仕上げるために、
硬化途中に水をつけて擦ることもあります。
先にマウントする上下のどちらかなら
まだマシですが、
後からマウントする方で
これをやるのは絶対にやめてください。
硬化途中の石膏に水を加えると大きな寸法変化を
招きますので、
これだけでマウント不良を誘発します。
もし石膏面を綺麗にしたい場合、
水を使わずに慣らすか、
完全硬化後に耐水ペーパーにて研磨して下さい。
⑤混水比を守る
これも基本です。
寸法精度を高める為、埋没材だけでなく
マウント用石膏も混水比を守りましょう。
ちゃんと計量した方が
結果的に使用量も少なくて済みます。
先にラバーボウルに石膏を入れておいて、
蛇口から直接水を注ぐような練り方は
避けた方が良いでしょう。
以上、マウントにまつわる石膏のお話でした。
ライター 髙瀬 直