『これでサクサク、
ジェット機 快適トリミング!』
クラウンを製作するにあたり、支台歯の
マージンを明瞭にする為に分割模型を製作し、
トリミングを行うのが一般的だと思います。
当然、本来は印象の時点で「歯肉溝」まで
明瞭に採得できていることが理想です。
しかし、臨床では嘔吐反射などの問題もあり、
「大雑把に周囲の歯肉部を削合すれば、あとは
残りを弾き取るだけでマージンが露出する」
といった模型の状態に導けない場合もあります。
ともすると、歯肉と一緒にマージンまで
削り落とさないような工夫が求められます。
さてこの支台歯トリミングですが、
人によって使う切削バーは様々です。
カーバイドバーやラウンドバーを
使う場合が多い様に思いますが、中には
ダイヤモンドバーを使う方も居るみたいですね。
ただ私は生まれつき手首の骨の建付けが悪く
(その辺の女子高生より骨が細いです)、
切れ味の悪いバーで硬い石膏を切削していると
すぐに手首が疲れてしまいます。
ついぞ腱鞘炎にもなりかねないのですが、
そんな私がお勧めな切削バーは
この「ジェットカーバイドバー(松風)」。
通常のハンドピース用ではなく、
エアータービン用のポイントですね。
この切削バーなら、超硬石膏相手でも
普通石膏みたいにサクサク削れます。
あまりに切れ味が良すぎるので、勢い余って
マージンを吹き飛ばしてしまいかねない程です。
扱いには若干の慣れが必要かもしれません。
もちろん、マージンぎりぎり最後のところは
シリコーンポイントで慎重に切削しますが、
初手の荒削りの部分で大きく時短になるので
大変重宝しています。
またコバルトのような硬い金属でも
容易にザクザク削れますので、
金属床のフィニッシュラインの部分等に
幅広く応用しています。
更にダイヤモンドドレッサーで研ぎ澄ませば
ノーエッジとしても活躍できる優れもの!
閑話休題。
ところで、支台歯トリミングで問題になるのは
やはり前述の「トリミングミス」だと思います。
手が滑ってしまった!
うっかりやらかしてしまった!
というのは置いておいて。
怖いのは無自覚にマージンを
削り飛ばしてしまっているパターンです。
結論から言って、いきなり水平的に
トリミングを始めてしまうと、無自覚に
マージンを削り落とす可能性があります。
とりわけマージンが
歯肉縁下に埋まっている場合にありがちで、
特に本来のマージンが歯肉縁下で
水平的に広がっている場合には注意が必要です。
これを防止するためには、
初手で歯肉を垂直的に切削しておき、
凡そのマージンが目視できるくらいになってから
水平的に切削する必要があります。
いきなり支台歯の周囲から削るのではなく、
歯肉の高さを最初に切削した方が
良い場合があることは、
覚えておいて損はないでしょう。
ライター 髙瀬 直