☆彡 従来のエッチングゲル,各種プライマーおよび接着材「レジセム」を使用したオールセラミックス補綴装置の被着面処理と接着固定法


*注:下記エッチングゲルおよび各種プライマーは従来通りの製造が継続されるものの,接着材「レジセム」については生産終了となり,よりユーザビリティに優れ,接着強度が向上した新規「レジセムEX」へ移行する.そこで,旧接着材「レジセム」等を用いた取扱法を解説します.

 歯質側被着面が的確に酸処理(エッチング処理)された場合,歯質表面は微細に粗造化されることで表面積が拡大する他,脱灰による白色化を呈することが視認できます.そこにプライマー(ボンディング材)および接着材によるレジン成分が浸潤して,歯質とレジン成分が混入したハイブリッド層である「樹脂含浸層」が形成されます.樹脂含浸層により達成される機械的嵌合および化学的結合,言い換えれば,レジン成分と歯質における分子レベル間の結合安定性が重要となるわけです.

 接着・重合メカニズムに関しては,個々のモノマーがネットワークを形成する重合反応で,有効な接着効果を獲得する重要な因子となります.ここでは臨床的に,最も確実といわれる基本的な接着界面3層構造からなる従来からの接着システムに必要な接着処理材料を記述する次第です.昨今,種々の歯科メーカーからそれぞれに対応するエッチングゲル,プライマーやレジン系接着材が上市されております.各社接着システム情報が錯綜することを回避する目的として,松風社製品に言及した従来の各素材を列挙し(図01a~f),オールセラミックス補綴装置における接着面および支台歯表面の処理方法を3つの図(図02~04)に編纂しました.

 

 図01a インパーバボンドエッチングゲル 図01b ポーセレンプライマー 図01c メタルリンク
 図01a インパーバボンドエッチングゲル
 
図01b ポーセレンプライマー
 
図01c メタルリンク

 図01d レジセムプライマーA 図01e レジセムプライマーB 図01f レジセム・ベーシックセット:オートミキシングシリンダ付き
 図01d&e  レジセムプライマーA&B
 図01f レジセム・ベーシックセット:オートミキシングシリンダ付き

図02 複合構造からなる支台歯の接着面処理図02 一般的オールセラミッククラウン補綴装置の場合,
複合構造から構成される支台歯の接着面処理には素材に則したプライマーを用いることが重要です

図03 ヴィンテージprimeプレスによるラミネートベニヤおよびインレー等コンディショニング処理図03 「ヴィンテージprimeプレス」における各種補綴装置等の表面処理とその接着固定

 「ヴィンテージprimeプレス」の主成分である二ケイ酸リチウム含有ガラスセラミックスはシリカを主成分とするものの,シリカを主成分としないセラミックスであるアルミナやジルコニアセラミックス補綴装置とは接着方法が異なる.

 そこで,「アルミナおよびジルコニアセラミックス補綴装置」の接着界面用プライマーとして,下記の「AZプライマー(図05)」を紹介します.アルミナやジルコニアセラミックス補綴装置の場合,図02①に相当する「補綴装置の被着面」は濡れ性が劣るため,先ず被着面を50~100µmのアルミナ粒子を用い,約2気圧でサンドブラストすることによって補綴装置表面を変化させることが肝要です.その後,図02②のプライマーを用いた被着面処理では、6-メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)に含まれるホスホン酸基がアルミナやジルコニア表面のヒドロキシル基に作用することから,接着性が向上します.

図04 ジルコニア補綴装置の接着法図04 「アルミナおよびジルコニア」における各種補綴装置等の表面処理とその接着固定

 図05 AZプライマー (アルミナおよびジルコニア補綴装置内面用) 図05 AZプライマー (ジルコニア補綴装置内面用)

 ・接着試験 表01)

 

保存条件

被着体

せん断接着強さ(MPa)

ヴィンテージ

PRIMEプレス

初期(37℃24H)

エナメル質

33.9

象牙質

14.8

サーマルサイクル

5,000回後

エナメル質

31.0

象牙質

18.2

 

  【試験方法】

   1)試験体(φ5.0mm×厚さ2.0mm)を作製した.表面は#325ダイヤモンドディスク研削仕上げ

   2)試験体の被着面をフッ酸処理後,松風ポーセレンプライマー処理を行なった.

   3)包埋牛歯(エナメル質、象牙質)は,耐水研磨紙#600研磨 → レジセムプライマー処理

   4)レジセムを用い,牛歯に試験体を接着した

   5)接着試験体は37℃水中24時間保存後,サーマルサイクル(4℃⇔60℃ 各30秒) 5,000回に供した

   6)万能試験機にて,せん断接着強さを測定した

図06 剪断接着試験のイメージ図

 各社ジルコニア前装用セラミックスの剪断接着試験の結果,ヴィンテージPRIMEプレス(対エナメル質)の剪断接着強度は天然エナメル質と象牙質間の非常に高い結合力(51.5±13.0Mpa)に及ばないまでも,他社製品群の焼付き強度よりも高い値を示しました.この試験(表01)では,5,000回に亘るサーマルサイクル(4℃⇔60℃ 各30秒)での剪断接着強度も測定しています.その差が2.9MPaしか生じないことは,高い接着強度が生体(口腔)内において極めて安定していることを示唆します.

 本剪断接着試験のイメージ図では,試験体が円盤状です.被着体は歯質であり,真鍮リング中にエポキシ樹脂で包埋されていることを図06に示します.青円盤は試験体,オレンジが剪断力です.

 

 *注:新規ビューティボンドXtreme&レジセムEX」を含む接着の歴史および原理における材料特性や使用方法の詳細に関しては、
    医歯薬出版株式会社,隔月刊「補綴臨床」2021年7月号の特別企画Part8に掲載予定です.
    上梓の際には,是非ともご参照くださいませ.

 *株式会社松風ホームページ ⇒ 新規「ビューティボンドXtremeレジセムEX

 

   以上